どうも、solobochiです。
ずっと読みたかった一冊。
基本的に通勤時間でちょこちょこ読み進めていたのと、途中途中で前に戻りながら読み返しながらだったので1ヶ月くらいかかった。
純粋に知らなかったことが多くて勉強になったのと、なんとなくヒトってこうだよな、と思っていたことが言語化されて腹落ちしたり、
現在の人類にも当てはまることが多々あって使える知識も多く得られたりと、めちゃくちゃ学びが多かった本。
まずは、歴史年表から。
歴史年表(抜粋) ・45億年前:地球の形成
・38億年前:生物の出現(単細胞、原核生物)
--10億年前--
--1億年前--
--100,000,000年前--
・200万年前:人類がアフリカからユーラシア大陸へ
--1,000,000年前--
・20万年前:東アフリカでホモ・サピエンスの進化
・7万年前:認知革命👉虚構の言語、歴史の始まり
・1万2千年前:農業革命👉定住
--10,000年前--
・2000年前:キリスト教
・500年前:科学革命👉科学の発展、領土拡大、資本主義台頭
・200年前:産業革命👉国家および市場の台頭
人類史において大きな変化をもたらした3つの革命がある。
それは、
1.認知革命
2.農業革命
3.科学革命
の3つ。
[サピエンス全史]
🔸認知革命
👉7万年前/遺伝子突然変異/認知能力発達
👉柔軟優れた言語/虚構の創造/社会的協力/歴史の始まり
👉vsネアンデルターレンシス勝因🔸農業革命
👉1万2千年前/定住/人口爆発
👉引き返せない贅沢の罠🔸科学革命
👉1500年/無知を認める/探究心
👉無知の革命/観測/数学的— solobochi (@solobochi) August 15, 2019
まずは、認知革命について。
認知革命 👉ホモ属の他の生物とサピエンスを分けたのが、認知革命により獲得した”言語”
👉認知革命発生の原因は不明、遺伝子の突然変異により言語による意思疎通が可能になったという説がある
👉どんな動物でも何かしらの言語は持っているが、目に見えないこと(実存しないこと)を説明により共有できるのは人間のみ
👉虚構について語ることができる能力が重要
👉言語により噂話が可能になり社会的協力可能になった
👉言語により集団で同じ神話・虚構を信じることができる→(Ex.)法人という虚構
👉ダンバー数150人を超えす集団で協力ができるのは国家という神話・虚構を信じることができているからこそ
👉信じる対象の神話を変えることにより集団が柔軟に振る舞いを変えることができたため遺伝的変化なしに社会的行動を変化させることができた→サピエンス成功の鍵
👉認知革命により歴史学が生物学から独立した→歴史の始まり
参考 ・最初の人類は250万年前に東アフリカでアウストラロピテクス
・200万年前には東アフリカから北アフリカやヨーロッパ、アジアへ進出
・ヨーロッパに移動したのがホモ・ネアンデルターレンシス
・アジアに移動したのがホモ・エレクトス
・インドネシアにはホモ・ソロエンシス
・進歩により直立歩行が可能になり、広い視野と腕の自由から道具の製造が可能になる一方で腰痛と肩こりに苦しむ
・直立歩行により腰回りが細くなり産道が狭くなり早期出産が必要となったことにより、人間は他の多くの動物と比べて未熟な段階で誕生するゆえに生まれてしばらくは食料や教育などを親から与えてもらわないと生きていけない。それゆえに出産してしばらく母子ともに育児のためには仲間の協力が不可欠となった。
・チンパンジーは1日に5時間も生肉を噛んでいるが、火を使える人間は1時間あれば食事が完了する。👉火を扱えることによる優位性
・狩猟採集社会は労働=狩りは3日に1回、採集は6時間程度と現代に比べれば労働時間は格段に少ないが、子供死亡率が高く平均寿命は30歳前後
・狩猟採集社会は食は安定しないが多様なものを食べるため健康には良い、労働時間は短いことなどから原初の豊かな社会とも言われるが、死亡率は高く集団についていけない者の処刑も多かった
次に、農業革命。
農業革命 👉1万2千年前にトルコ・イラン・レヴァント地方の丘陵地帯で始まる
👉小麦の栽培
👉食料増加による人口増加
👉小麦栽培には時間を要するため定住化が必要となる
👉人口増加のため小児死亡率は増加するも出生率が死亡率を上回り人口は増加
👉実は農耕社会は人間を苦しめたが人口増加による不幸を予見することはできなかった
👉小さな変化の積み重ねで歴史的な変化となるが社会が変わるには何世代もの期間を要するため気付いた時にはもう手遅れで引き返すことはできない→現代も同じ
→インターネットやメールにより便利になり時間を節約できるようになると思いきやむしろ以前よりも早いスピードで過ごさなくてはいけないことになり落ち着くことはない👉
👉狩猟採集社会ではその日暮らしで未来を考えることはできなかったが農耕社会により安定して食料を得られるようになったことで未来を思考できるようになったがそれはすなわち多くの悩み事に悩まされることにもつながった
👉集団生活の発展から国家が形成され国家の秩序維持のために神話が必要とされた→(Ex.)ハンムラビ法典
👉想像上の秩序は神話に依存しており、人々が神話を信じなくなれば崩壊する危険性を持っている
👉言語の次に必要となったのが、”数”
👉狩猟採集社会では数の概念は不要だったが大規模な王国維持のためには数が必要となった
参考 ・贅沢品は必需品となり、新たな義務を生じさせる→贅沢品に一度慣れてしまうとそれを当たり前と思ってしまう
・価値観は社会によって異なり信じる神話による。中世貴族社会での価値観では人の価値は他人からどう思われるかであった。
・人の欲望も属する社会の信じる神話、想像上の秩序によって変わる
・例えば現代において海外旅行で休暇を過ごすことが良いとされるのはロマン主義思想による多くの異なる経験をすべきという神話によるもの
・差別も神話の産物
・生物学的作用は可能にし文化が禁じる→(Ex.)生物学的作用が女性が子供を出産することを可能にして文化が男性同士の結婚を禁止する
・男らしさや女らしさも文化による
ここで、
人類史における貨幣と帝国と宗教による人類の統一について。
貨幣・帝国・宗教 👉物々交換社会では品数が多くなるとその全てを規定しておくことは不可能になり、基準が必要となる→最初は貝殻など。(1000種類の品物の交換レートは499,500通り※1000C2)
👉貨幣の価値は相互に信頼しているからこそ保たれる
👉文化も言語も宗教も違っていても金・銀への信頼さえ共通であれば交易が可能
👉貨幣により膨大な人同士が交易で協力することができた
👉帝国による被支配民の搾取は大いにあったが、帝国が現代にもつながる文化を形成したことには間違いない
👉近代になって宗教に変わり台頭したのが自由主義・共産主義・資本主義などの自然法則の新宗教でありこれらはイデオロギーと呼ばれる
参考 ・本来宗教は普遍的でありかつ全ての人に広めようとする宣教を行うべきだが、古代の宗教の多くは局地的で排他的だった
・一神教信者は悪の問題に対する答えに苦労する、人間は悪を選ぶことができるのであればなぜ神は人間を創造したのか答えられない
・二元論者は悪の問題には容易に答えられる(神とは異なる悪の力が存在する)が、秩序の問題には答えに苦労する、善と悪のどちらが秩序なのか
・宗教とは、超人間的な秩序の信奉に基づく人間の規範や価値観の体系のこと(Ex.仏教における煩悩を捨て解脱すべきなど)
・自由主義的人間至上主義は個々の人間の特性が「人間性」であるとし人間を神聖視するが一神教
・社会主義的人間至上主義は「人間性」を個人ではなく集合で捉え、全人類の平等を求める
・歴史を研究することは未来を知るためではなく想像しているものよりもはるかに多くの可能性があることを理解するため
最後に、科学革命と資本主義、そして産業革命について。
科学革命 👉西暦1500年頃、約500年前
👉当時世界の人口は5億人、現在はその10倍以上に当たる70億人
👉科学革命前後で人口だけ見ても10倍以上増加、生産量は240倍、エネルギー消費量は120倍
👉科学革命以前は資本の投資先は新たな力の獲得ではなく既存の力の維持であり、現代のように科学者ではなく聖職者や哲学者だった
👉科学革命以前は科学者により新たな力を獲得することは期待されておらず、世界の全てを知る哲学者や聖職者が尊まれ、支配者は既存の秩序強化のために教育機関へ出資
👉科学革命は知識の革命ではなく無知の革命、無知を認めることが革命的であった
👉科学革命以前は、この世界の重要な事柄は全て神が知っておりそれを聖書・聖典で伝え聞くものと信じられていた
👉科学革命は、無知を認めたことでダイナミックで探究的であった
👉科学革命以前の知識は物語形式、科学革命以後は数式
👉科学革命以前は今以上の進歩を信じていなかった、黄金時代は過去にあり未来は退化する一方だと信じられていた
👉新たな植民地を求めた大航海時代は知識の制服と領土の征服が結びつく、それはすなわち科学と帝国の結びつきとも言える
現代社会の説明に必要不可欠な資本主義について。
資本主義 👉科学革命以前の近代経済では経済成長は横ばい、1人あたり生産量は変化しない
👉科学革命以前、世界全体の生産量は2500億ドル相当だったが、現在は60兆ドル相当であり、20倍以上
👉科学革命で大きな経済成長を遂げた最大の要因は、「信用(クレジット)」
👉将来の収入を使い現在の資産を築くことができるのは信用供与によるもの、将来が現在よりも良くなると信じることができるようになって初めて信用供与が可能になる
👉近代以前は成長を信じていなかったためグローバルなパイの大きさは一定であり、誰かがより多くの富を得るとき他の誰かが富を失うと考えられていたため、利己的行動は悪であった
👉アダムスミスは国富論で、自らの利益を増やしたいと願う利己的な行動により再投資によって全体のパイの大きさも大きくなることから利己主義とはすなわち利他主義につながると主張した
👉アダムスミスの主張はグローバルなパイの大きさが一定ではなく経済は成長するものという考えを前提にしたという意味で画期的であった
👉近代経済は、未来に対する信頼・期待と再投資により成長を果たした
産業革命について。
産業革命 👉農耕社会から工業社会へUpdateさせたのが産業革命
👉蒸気機関の発明など、産業革命はエネルギー変換における革命であった
👉産業革命で参加で豊富なエネルギーを得ることができるようになって、人類の生産性は爆発的に向上した
👉産業革命で正確さ・均一さが求められたことで、標準時間の統一が図られた
参考 ・自然は数学という言語で書かれている(ニュートン)
・科学革命の最も重要なプロジェクトは人類に永遠の命を与えるもの
・資本主義の思想は生産利益は再投資によってさらなる生産増加をもたらすという思想
・東インド会社も信用供与を前提に投資資本を集めた株式会社
・資本主義と消費主義の価値体系は、富めるものへの投資せよと、それ以外の者への消費せよである
・幸福は主観的厚生(主観的満足の数値的尺度)(主観的感情)
・富による幸福は一定の水準までは有効だがそれを超えるとサチる(サチュレーション)
・幸福とは客観的条件と主観的期待との相関で決まる(理想・期待と現実のギャップ)
・現実が良いものでなくとも、期待値が低ければ幸福度は低くない
・情報が得やすくなったことで多くの成功者と比較できるようになったために現在は期待が大きいためにその分幸福度は低くなる(中世の農民は何ヶ月も体を洗わなかったが満足していた)
・生化学的には幸福をもたらすのはセロトニンでありドーパミンでありオキシトシンである(脳が快感と感じる)
・幸福を追求するとき外部の条件を求めることは虚しく、それは何十年も浜辺に立って良い波を求め悪い波を退けようと奮闘することに等しく、不毛である
・どんな波が押し寄せようとも流れに任せる、気にしない、そのほうが静穏であり幸せに近い
・感情は刹那的であり喜びを求めることをやめて初めて苦しみから解放される=ブッダの教え
・期待が満たされることや、快い感情を得ることは重要ではなく、自分の真の姿を見抜くこと、自分を知ることが最も重要
・何を望みたいのか、何になりたいのかを思考することでテクノロジーをどう活かして次の人類のあり方を考えるべき
まとめ
普段の生活の中では日々の仕事や予定に追われていると、自分が生まれる前、そのずっと前、何千年、何万年前のことなど考えたことなかったです。
人類の誕生から、狩猟採集社会、農業社会、工業社会、情報社会という変遷を経て現代があること、そしてその変遷の中で脈々と育まれてきた文化を
継いで今の人類、今の自分があることを改めて知りました。
認知革命により虚構を想像し、協力することで食物連鎖の頂点に立ったホモ・サピエンス、農業革命により人口爆発し定住する。
そして貨幣・帝国・宗教によって人類は統一に向かう。そして科学革命という人類最大の革命により空前の進化を遂げる。
無知を認める事で進化することができる。これは現代の個々人にも同じことが言える。自分はもう十分だと思った瞬間に成長が止まる。
進歩の概念は資本主義における未来を信じる力と結びつき信用供与を用いながら大きな経済成長をもたらした。
遠い昔は全然関係ないことではなく、今のように集団生活したり出産時にそれを支える社会的文化が二足歩行の開始からもたらされていることなど、
今は当たり前に受け入れていることもしっかりと理由があったことを知ると、前提が変われば今の当たり前も
当たり前のように変わりうることを知り、無限の可能性を感じることができる。これは柔軟な発想で物事を捉える上で重要なことだと思います。
どうして集団生活をするのか、どうしてテクノロジーによって進歩することができるようになったのか、どうして他人同士が協力することができるのか、
どうして他の生物ではなく人類こそがヒエラルキーの頂点に立つことができたのか、それらについて知ることができたのは非常に大きく、
全人類が理解してしかるべきことだとすら思います。読書の面白さを改めて感じる素晴らしい本でした。
以上