前回の「絶対に後悔しない物件探し」に引き続いて、引っ越し関連のタスクについてもまとめていきます。
目次
1.退居関連
引っ越しに関連するタスクには大きく分けて以下の3種類があります。
・物件探し
・退居関連タスク
・入居関連タスク
物件探しについては過去記事を見ていただくとして、本記事では退居及び入居に関するタスクをまとめていきます。
1.解約通知
物件探しの次に退居関連としてまずやるべき最重要タスクは、解約通知です。
私の場合は当時住んでいた物件の更新タイミングでの解約だったことから、必然的に解約通知のリミットが決まっている状況でしたので、引っ越し先が決まっていようがいまいが解約しなければならず、ある意味ではそこまで迷わず実施できましたが、特にリミットが無い状況だと解約通知のタイミングについても悩むかもしれません。というのも、解約については早すぎても遅すぎても良くないところが難しいと思います。解約が早すぎる場合だと、まだ物件が決まっていない状況での解約となるケースが多く、その場合は退居日までの限られた期間内で次の物件を決めなければならなくなってしまい、最終的に物件選びで期間優先で妥協を余儀なくされる可能性があります。一方で、解約が遅すぎる場合、次の物件は決まっているものの、それ故に現在契約中の物件と新居の契約との契約期間が重複してしまうので、家賃を二重で支払わなければなくなり金銭的負担が大きくなる可能性があります。
従って、
・現住居からの退居日まで十分な期間があり、次の物件を妥協なく選ぶ事ができる
・次の物件の契約日(成約日)が退居日(現住居の契約期間満了日)と近く、家賃の重複がなるべく起こらない
という相反する2つの条件をなるべく満たせるように解約するのが良いです。そしてこれを満たすためには、”可能な限り退居日直前に契約する事”が必要です。ただし、良い物件ほどすぐに決まってしまうので、退居日直前に自分の条件にドンピシャな物件の空き情報が出てきてくれなければ難しく、そこに関してはもう運要素が大いに含まれてきます。とはいえ、これを意識して物件探しをするか意識せず探すかでは大きな違いが出てくると思うので、この期限感を意識して物件探しをする事が重要です。あとは、私も実施しましたが、新居の契約期間を極力後ろにしてもらうように不動産屋と交渉です。感覚ですが、よほど人気で既に他にも借り手に名乗り出ているという状況でない限りは2週間程度は延ばせると思いますので、交渉して極力家賃の重複が起こらないようにすると良いです。
ポイント ・退居日及び新居契約日から逆算して契約期間スケジュールを意識した物件探しをする ・新居の契約期間について交渉して極力現住居からの退居日に近い日まで待ってもらう
2.引っ越し業者の見積もり
退居日が決まり、物件探しにも目処が立ち、仮契約ないしは契約直前の段階までいったら、早めに引っ越し業者の見積もりを取り始めます。引っ越し日も事前に予約しておかないと希望の日が押さえられないばかりか、割高ないしは正規料金での引越しとなってしまいます。ある程度余裕を持って引っ越し業者の見積もりを取っておく事で、引っ越し業者の見積もり比較もできる上、早めに予約をする事で割引が適用できるケースが多いため、割安での引っ越しが行えます。個人的には引っ越しの当日はとてもバタバタするため、退居日と引っ越し日は分けておき、事前に引っ越しをしてから最後の大掃除を行って万全の状態で退居日・退居立ち会い日を迎えるのが良いとおもいます。
ポイント ・引っ越し業者の見積もりは早めに取って業者間の見積もりを比較する ・早めに見積もりをとる事で割引を適用させて割安に引っ越しを行う ・引越し日は退居日とは別の日を設定する
3.契約
このタイミングで契約を完了させます。
以降は契約後に実施するタスクになります。
4.引っ越し業者・引っ越し日の決定
新居の契約が完了して、引っ越し先住所が確定したら、引っ越し業者を決めて引っ越し日を確定させます。
引っ越し業者を決めるにあたり、値下げ交渉は必須になりますが、その際最も有効なのが複数社の見積もりを取っておくことです。今回私が実施してうまく行った方法としては、まずは一括見積もりで10社程度見積もりをとっておき、その中で最安の業者と料金を控えておきます。そのうえで大手引っ越し業社の訪問見積もりを受けて直接交渉すると、大手の業者は料金では対抗できないものの、格安業者の料金に1万ほど乗せた金額くらいまでは交渉できる余地がある場合があります。あとは、大手の業者全てに対して訪問見積もりで金額を交渉していくと、大手の中での最安料金で引っ越しが実施できます。私の場合は1社目の訪問見積もりで交渉がうまくいき、その値段があまりにも安すぎて他の業者が手が出ない金額ほどだったので、具体的な金額を口外しないように言われていることもあってあまり具体的な話はできませんが、ざっくりとこのような流れで進めれば最安な業者を選ぶ事ができるかとおもいます。ただし、とにかく安く引っ越したいという場合は大手にこだわることなく、一括見積もりで最安となった業者を選べば良いとおもいますが、一括見積もりだけだと、後から追加請求があるトラブルがとても多いので、契約前に極力詳細まで決めておき、追加請求を出されないように注意する必要があります。
ポイント ・一括見積もりで最安業者を見つける ・大手業者全てに訪問見積もりで交渉を行う ・大手業者同士で比較して最終的な最安業者に決める
5.部屋の掃除(退居立ち合い準備)
厳密には解約通知を提示して退居日及び退居立ち合いびを決めてから計画的に実施する必要がありますが、退居立ち会いに向けて部屋の掃除を進めていきます。引っ越し費用を極力抑えるためにも掃除は抜かりなくやらなければなりません。また、退居時にトラブルになることを防ぐためにも、国土交通省刊行の原状回復に関するガイドラインはしっかりと目を通しておく必要があります。
ざっくりとポイントを抜粋すると、
原状回復に関するガイドラインのポイント ・原状回復とは借りた時の状態に戻すことではなくあくまでも通常使用による減耗を除いて居住者の故意・過失による摩耗を回復する事 ・耐用年数と経過年数を考慮した資産減価償却の考え方を理解しておく ・電球などの設備・備品の交換費用は貸借人に求められる ・契約時の特約を確認しておくこと
例えば具体的には、
👉 フローリングの色落ちは自然損耗に該当するので費用請求されない
👉 家具配置による床のへこみについても通常生活の範囲内と考えられる事から費用請求事項には該当しない
👉 冷蔵庫設置のサビ跡がある場合には拭き掃除を怠っていたと判断される場合に費用請求事項に該当する事から、事前に念入りに掃除しておく事で退居費用を減らす事ができる
👉 壁にはるポスターを留めていた画鋲跡は通常生活の範囲内とされ費用請求事項に該当しない
👉 タバコのやに汚れは通常使用を超えるものとされ、費用請求事項に該当する
👉 台所の油汚れは普段の掃除不足と考えられ費用請求事項に該当する
👉 床やカーペット、壁・クロスについては6年で残存価値1円と考えるため、6年以上住んでいた場合は居住者の費用負担は1円以下となる
👉 エアコンクリーニングについては基本的に居住者負担とはならない
👉 流し台の耐用年数は5年、インターホンは6年、金属製以外の家具・戸棚は8年
などなど。
(私も十分に気をつけていたつもりでしたが、エアコンクリーニング費用はぼったくられました。。。。)
ポイント ・国土交通省刊行の原状回復ガイドラインをしっかりと確認しておく ・居住者負担となる部分について徹底的に掃除をする ・備品は事前に自分で交換しておく方が請求額より負担額を抑える事ができる
6.粗大ゴミの処分
部屋の掃除と並行して退居立ち会い日までに実施しないといけないのが、粗大ゴミの処分です。今回の引っ越しでは、新居に荷物を極力置きたくなかったので元々持っていた家具はほぼ全て廃棄しました。ベッドフレーム、ソファ、机、ダイニングテーブル 、ラグ、、、などなど。粗大ゴミの処分に当たっていろいろ調べていくと、不用品・廃品の高価買取や無料回収業者の広告をやたら目にして、5〜6社の見積もり及び訪問見積もりを実施しましたが、全て誇大広告の詐欺でした。本当に時間がない時にだけ使うのが良いです。基本的には自治体の粗大ゴミ回収の方が断然安く上がります。
ポイント ・自治体の粗大ゴミ回収を利用する
7.インフラ関係(電気・ガス・水道・ネット)
新居の契約が完了して引越し先住所が確定したら、インフラ関係の変更手続きを行います。
県またぎの引っ越しの場合には現在使っているサービスが利用できないこともあるので、早めに確認しておく必要があります。
なお、インフラ関連の日程(現住居でのガス閉栓立ち合いや新居でのネット開通立ち合いなど)によっては引っ越し日の再検討が必要になることも、またその逆もあるので引っ越し日の決定とインフラ関連の手続きはどちらを先に実施しても問題はないですが、両者の日程の兼ね合いを気にする必要が大いにあるのでどちらも契約を終えて住所確定次第速やかに決める必要があります。
ポイント ・新住所が確定次第、電気・ガス・水道・ネットなどのインフラ関連の手続きを行う ・引っ越し日との兼ね合いの調整が必要
8.転出届(役所)・郵便転送サービス
新居の契約が完了して新住所が確定したら、役所に行って転出届を提出して転入時に必要となる転出証明書を発行してもらいます。転出届は一般的に転居の14日前から実施できるので事前にやっておくのも良いでしょう。事後で実施する場合には、実際の転居から14日以内に転入届の提出が必要になるので、それまでに転出届を提出して転出証明書を入手しておく必要があります。
そして役所での転出届と同じくらい重要なのが郵便局での転送サービス申し込みです。引っ越し後に以前の住所に届いた郵送物(転送不要のもの以外)を新居に転送してくれるサービスで、1年間有効なので忘れずに実施する必要があります。届出提出から1週間程度で転送サービス有効になります。
ポイント ・新住所が確定次第、電気・ガス・水道・ネットなどのインフラ関連の手続きを行う ・引っ越し日との兼ね合いの調整が必要
2.入居関連
退居関連のタスクに続いて、退居関連と比べると少ないですが入居関連のタスクもまとめていきます。
1.転入届・印鑑登録
転居後14日以内に役所で転入の手続きを実施します。この時同時に印鑑登録も行い、住民票の取得もしておくと良いです。
2.マイナンバー更新
県またぎでの移動の場合、マイナンバーの住所変更に加えて、マイナンバーに設定した署名用電子証明書の再発行が必要となります。
大抵の場合は転入手続きを行う窓口とは別の窓口になるかとおもいますが、役所で転入手続きをするときに同時に実施するのが良いとおもいます。
3.免許証更新
マイナンバーの住所更新が終わっているとマイナンバーが使えるのでよりスムーズに運転免許証の住所変更ができます。
4.保険証更新
社会保険加入者の場合は会社へ住所変更を登録する事で保険証の情報を更新してもらえます。
国民健康保険加入者の場合は役所での手続きは必要となります。
5.各種住所変更
その他諸々の住所変更手続きを行います。
各種金融機関やショッピングサイト、ふるさと返礼品の送付先の変更手続きなどなど。
6.現状の写真を撮っておく
急に手続き系ではなくなりますが、大抵内見の時にも写真は撮るとおもいますが、撮り切れないので、入居してすぐの段階で、できれば契約後かつ引っ越し前に来て現状の写真を撮っておき、特に気になる箇所に関しては仲介会社担当者と共有しておくと、退居時にトラブルになることを防ぐ事ができるかとおもいます。
3.まとめ
まとめると以下の通り。
<退居時>
No. | タスク | 概要 | 時期 | 所要期間 |
1 | 解約通知 | 管理会社に対して解約を宣言 | 任意 ※ただし退居日は計画的に検討が必要 |
ー |
2 | 引っ越し業者の見積もり | 複数の引っ越し業者に対して見積もりをとる | 新居に目処が立った頃 およそ引っ越し日の1ヶ月前までには実施 |
ー |
3 | 契約 | 新居の契約 | 任意 ※契約期間は交渉して退居日に近づける |
ー |
4 | 引っ越し業者・引っ越し日の決定 | 新居契約後速やかに引っ越し日を決定する | 契約後速やかに実施 | ー |
5 | 部屋の掃除 | 退居立ち会いに向けて部屋の大掃除をする | 引っ越しを検討し始めてすぐに開始する | 退居日まで |
6 | 粗大ごみ処分 | 自治体の粗大ごみ回収を依頼 | 退居日から逆算して実施 ※生活もあるので廃棄タイミングは計画的に。 |
引っ越し日までに完遂 |
7 | インフラ関係の手続き | 電気、ガス、水道、ネットの住所変更手続きを行う | 新居決定後速やかに実施 | ー |
8 | 転出届・郵便転送サービス | 役所、郵便局にて手続きを行う | 新居決定後速やかに実施 | 1日 |
<入居時>
No. | タスク | 概要 | 時期 | 所要期間 |
1 | 転入届・印鑑登録 | 役所にて手続きを行う | 転居後14日以内 | 1日 |
2 | マイナンバー更新 | 役所にて手続きを行う | 転入手続と同時期に実施 | 1日 |
3 | 免許証更新 | 警察署、免許試験場にて手続きを行う | マイナンバー住所変更完了後に実施 | 1日 |
4 | 保険証更新 | 会社に届を出す/役所にて手続きを行う | 転入手続と同時期に実施 | 1日 |
5 | 各種住所変更 | 各種関係機関に対して手続きを行う | 転入手続と同時期に実施 | 1日 |
6 | 現状の写真を撮っておく | 入居時の状態を漏れなく撮っておく | 可能なら引っ越し荷物搬入前に実施 | ー |
なお、時系列だとざっくりこんな感じ。
以上